第24回騒音障害防止研究会(web開催、無事終了いたしました)

第24回騒音障害防止研究会
会 場:web開催
参加無料、事前申込不要
日 時:2021年11月5日(金)13:00-15:00予定
内 容 :一般口演
座 長:
永野 千景(産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健管理学)

演題1. 騒音環境下での警告音の種類による可聴閾値の差異について
〇阪上 拓1、永野 千景1、佐藤 教昭2、堀江 正知1、井上 仁郎3
1産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健管理学
2産業医科大学 共同利用研究センター
3井上音響リサーチ
労働現場では危険箇所や危険の発生を回転灯や表示等で視覚に訴えたり、警告信号音や会話等による音声コミュニケーションで聴覚に伝達したりして労働災害を防止している。ISO 7731においては聴覚危険信号の条件としてA特性音圧レベルが65dB以上であること、周囲騒音の音圧レベルを15dB超えること、もしくは音圧レベルがこれらの条件を満たさなくても危険信号の周波数または時間的分布が周囲騒音の特性から明瞭に異なることを推奨している。さらには、聴覚障害を持った者または聴覚保護具を着用した者がいる場合、特別な配慮をすることが望ましいとしている。現在、日本の労働現場ではフォークリフトや機械設備の警告音として、様々な警告音が使用されており、特にクラシック音楽や童謡、歌謡曲のメロディを使用した多様な周波数帯域の警告音が普及している。今回、騒音環境下でこれらのメロディ警告音に対する可聴閾値を測定し、その有用性について検討することを計画したので報告する。
 
演題2. 呼吸用保護具及び飛沫飛散防止器具の装着による音声コミュニケーションへの影響評価
〇永野 千景1、香世山 隆弘2、阪上 拓1、佐藤 教昭3、堀江 正知1、井上 仁郎4
1産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健管理学
2 産業医科大学 医学部3年
3産業医科大学 共同利用研究センター
4井上音響リサーチ
粉じんや化学物質を取り扱う作業に従事する労働者は、これらのばく露を防止するため、呼吸用保護具を着用しているが、これらの装着下では音声伝達が妨げられてしまう。このような作業場では同時に騒音にばく露されることも多く、会話や作業指示といった音声コミュニケーションエラーの原因となっている可能性がある。米国保健社会福祉省(NIOSH)は呼吸用保護具の装着下でModified Rhyme Test (MRT) scoreが70%以上を保たれるよう求めている。さらに現在、新型コロナウイルス感染拡大防止策として、衛生用マスク等の飛沫飛散防止器具が広く使用されており、これらの装着で音声伝達が妨げられる可能性がある。今回、呼吸用保護具及び飛沫飛散防止器具(以下、プロテクタ)を装着可能な実験用マネキンを用い、マネキンに組み込まれたスピーカーから音声を発生させ、一定の距離における周波数分析を行うことで、プロテクタ装着下での音声伝達の減衰を評価したので報告する。

演題3.     騒音作業場3管理の評価についての事例報告
〇岩佐 かおり
医療法人社団 如水会 今村病院 健康管理センター
食品製造加工業において、番重洗浄機付近で(簡易測定で90.1 dB)の騒音があった。対策として作業3管理を見直しした。作業環境管理においては、職場環境測定の結果、A測定は83.9 dB、83.4 dBであり、第1管理区分であった。
騒音低減策として、作業者と騒音源を離す対策を行い、取り出し口の間口を長くした。他の遮音や吸音材の装着を検討したが、作業工程上不可能であった。
健康管理においては、騒音健診を実施した結果、当該作業に従事している6名の内、管理区分B1、2名、管理区分B2、1名であり、騒音による聴力障害の相関関係が疑われたが、内2名は既往に耳鼻科疾患があり、オージオグラムが典型的な騒音性難聴のパターンではないことから、この作業場での騒音曝露と聴力有所見の因果関係は、弱いと考えられた。しかし、作業管理としては、騒音保護具の未着用であったため、今後の聴力経過をみる必要があることや、騒音保護具の装着効果を見るためにも、騒音保護具(イヤーマフ)の着用を指導した。今後も、長期的に評価を行う必要があると考えられる。
 
演題.     コールセンターにおけるヘッドホンからのばく露騒音の測定手法について
〇佐々木 直子
佐々木労働衛生コンサルタント事務所
コールセンターは金融・保険業やサービス業、小売業などにおいて顧客サービスの向上のために近年増加傾向にある。ここでは労働者が通信端末にヘッドセット(マイクロホンを一体化したヘッドホン)を接続して顧客と会話する。この際、音量が大きすぎると、騒音曝露による聴力障害が発生する可能性が危惧されている。
 ヘッドホンからの曝露を測定する方法としてはISO11904-2で音圧測定用マネキン(KEMER)を用いる測定法、および、ISO11904-1で耳内マイクロホンを用いる測定法が定められているが、実際の作業者の騒音曝露を作業の邪魔にならないように測定するためには、どちらの方法でも困難である。
本研究では、両側の外耳口にかけるタイプのマイクロホン(以下、両耳マイクロホン)を用い、コールセンターで業務をしている労働者を対象にヘッドホンから提示される音圧レベルを測定した。両耳マイクロホンは作業者の両耳の曝露を同時に、かつ作業性を損なうことなく測定できる。先行研究で用いられている測定方法と比較し、両耳マイクロホンの業務中の曝露の評価方法としての有効性を検討した。
参加者数 45